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決算締切日を利用して節税する 売上と費用関係の節税


【目次】

1.決算締切日を利用するとは

法人税法上は、所得の金額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基凖に従って計算されることになっています。

企業会計上は、一会計期間内に発生したすべての費用及び収益については、これらを対応させて計上するのが原則です。

したがって、本来、法人の定めた事業年度における売上高、仕入高、経費その他の損益項目についてはすべてもれなく計上し、これに基づいて決算の確定及び法人税の申告がなされるべきです。

ところが、企業経理の実情としては、月末までに支払いが受けられるようにするため、月末より5日、あるいは10日前に請求金額を締め切り、得意先に請求書を送付しておく必要が生じることもあります。たとえば3月決算で20日締めの会社の場合、3月20日に売上を締めてしまいますので、3月21日から3月31日分の売上が計上されないこととなってしまいます。

このため月末を決算日とする会社でも、20日ないし25日に請求金額を締め切って請求書を発行し、決算上もその締切りにより請求した金額を売上高としている経理上の慣行があります。

このため税務上も、決算日よりも前の日に帳簿を締め切って、その締切日を基に、各事業年度の収入と支出を計算するという決算締切日の特例が認められています。

決算締切日が認められるための条件は、次の3つです。

  • 商慣習その他相当の理由があること
  • 締切日は事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日であること
  • 毎期継続して適用すること

これは税務も企業経理の実情に対して配慮し、事務手続の簡素化の見地からこれを認めたものと考えられます。

また、仮にこの処理方法を認めても、その計算が継続する限り特に課税上も弊害がないと考えられるからです。

決算締切日を利用すれば、決算事務の省力化になるだけでなく、税務上のメリットも生じることになります。

なお、継続適用を条件にしているのは、その事業年度によって決算締切日を適用したり、本来の決算日に戻ったりすることによる利益操作を排除しょうという趣旨で、ある事業年度から決算締切日を適用することを禁止しているわけではありません。今まで使っていなくて、これからずっと使うという前提であれば、適用可能です。

2.特例適用項目の範囲について

決算締切日の特例は、これを適用するなら、その法人のすべての収益項目、費用項目について適用しなければならないというわけではなく、決算日以外の日を決算締切日とすることについて合理的な理由がある項目についてのみ適用して差し支えないこととなっています。

なぜなら、この特例が事務処理の省力化という経理実務上の要請から認められているものだからです。

ただし、売上と仕入は対応している必要があり、例えば、売上については3月20日に締め切り、仕入については3月31日に締め切るという処理方法は認められません。

また、決算締切日の特例を適用した場合、期末棚卸資産の金額は、決算日の残高ではなく、決算締切日である20日とか25日の残高を計上することになります。

他方、決算日で締め切ることについて支障のない項目については、原則通り決算日で締め切るべきであると考えられます。

特に、事業年度を計算の単位としている減価償却費の計算や交際費等・寄附金の計算などについては、決算日を基に計算しなけれぱならず、この特例を適用することができません。

なお、同じ売上でも、すべての売上項目に適用する必要はなく、事業部門ごとの適用とか、事業所ごとの適用も、商慣習や地域性からして合理的であれば、認められると考えられます。

3.特例の適用には合理的な理由が必要

本来の決算日と特例である決算締切日は、どちらでも自由に選択適用できるというわけではなく、特例を適用するには、決算日前に締切日を設定することについての合理的な理由が必要とされます。

例えば、得意先の数が多く、得意先との取引件数も多いという状況にあり、20日締めとなっているため、本来の決算日に合わせて売上高を計算するとなると、締日後の取引高加算に多大な労力が必要とされるといった場合です。

一方、得意先の数が少なく、 1社当たりの取引量もそれほど多くない状況で、締日後の取引加算が容易にできるという場合には、特例の選択適用は認められません。

決算締切日の特例を適用するためには、商慣習その他の理由が必要とされるのです。

なお、決算締切日の特例の適用については、税務上特に届出は必要とされていません。

4.決算締切日として一定の日を定めること

决算締切日が認められる要件のーつに、「締切日は事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日であること」があります。

この「一定の日」とは、「特定のある一日」と解されています。

したがって、例えば、得意先により20日、 21日、 25日の 3つの基準日を用いて決算締切日とするようなことは認められません。

売上及び仕入は事業年度を単位として計算し、それに基づいて所得金額及び税額を計算するのが原則ですが、一定の条件により決算締切日を単位として計算することも認められています。

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