陳腐化償却の適用による節税 「資産」関係の節税
【目次】
減価償却資産が著しく陳腐化した場合には、国税局長の承認を受けることにより、その資産の陳腐化に見合う帳簿価額の修正(これを陳腐化償却といいます。)をすることができます。
1.陳腐化償却とは
減価償却資産が技術の進歩その他の理由により著しく陳腐化した場合には、その資産の使用可能期間を基礎として所得の金額の計算上損金に算入された減価償却費の額を修正することができます。
つまり、陳腐化した資産については、過去に遡って陳腐化による減損分に見合う帳簿価額の修正が認められ、その金額を一時償却することができます。これを陳腐化償却といいます。
陳腐化とは、減価償却資産が現実に旧式化し、その資産の使用によってはコスト高、生産性の低下等により経済的に採算が悪化すること、流行の変遷、経済的環境の変化等により製品、サービス等に対する需愛が減退し、その資産の経済的価値が低下していること等のため、その更新又は廃棄が必要とされる状況になったことをいいます。
また、著しい陳腐化とは、その資産が陳腐化したことにより、その使用可能期間が現に採用している耐用年数に比しておおむね10%以上短くなった場合をいいます。
ただし、租税特別措置法の特別償却のうち、「割増償却」の適用を受ける減価償却資産については、陳腐化償却の対象とすることはできません。(割増償却と陳腐化償却はどちらかしか採用することができませんので、採用にあたっては、償却額をシミュレーションすることをおすすめしています。)
陳腐化償却をするためには、「陳腐化資産の償却限度額の特例の承認申請書」に必要書類を添付し、税務署長を経由して国税局長に提出し、その承認を受ける必要があります。
その添付書類は次の通りです。
①承認を受けようとする使用可能期間の算定の明細書
②申請の日の属する事業年度の直前の事業年度の営業報告書
③申請の日の属する事業年度の直前の事業年度の法人税確定申告書別表十六(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)の写し
④承認を受けようとする減価償却資産の写真、カタログ等申請資産の状況が明らかになる資料
【陳腐化資産の償却限度額の特例の承認申請書】
2.陳腐化資産の償却限度額の計算
国税局長の承認を受けた陳腐化資産のその事業年度の償却限度額は、陳腐化償却限度額と普通償却限度額の合計額です。
2-1.陳腐化償却(一時償却限度額の計算)
その減価償却資産の①「期首の帳簿価額」から②「その資産の取得時より国税局長の承認を受けた使用可能期間を基礎として償却したものとみなして計算した期首現在の帳簿価額を控除した金額が陳腐化償却限度額です。
定率法を採用している場合、②はその減価償却資産の「取得価額」に「承認を受けた年数に応ずる未償却残額割合」を乗ずることにより求められます。
2-2.普通償却限度額
定率法を採用している場合の当期の普通償却限度額は、まず、陳腐化償却(一時償却)を行い、その償却後の帳簿価額に償却率を乗じて計算することになります。
償却率の基礎となる年数は、耐用年数の短縮の承認を受けている場合には、短縮後の年数になりますが、耐用年数の短縮の承認を受けていない場合には、法定耐用年数によることになります。
3.陳腐化償却と耐用年数の短縮
減価償却資産が陳腐化した場合の償却限度額の計算には、陳腐化償却と耐用年数の短縮の2 つの特例があります。
陳腐化償却は、過去の事業年度において損金に算入した減価償却費の額を国税局長が承認した使用可能期間によって修正するものです。
つまり、過去の償却費の修正として帳簿価額を減額することになります。
耐用年数の短縮は、国税局長の承認を受けた事業年度以降に適用されるものです。
したがって、耐用年数の短縮だけでは、過去の修正を行うことはできません。
したがって、この2つの特例を併用することにより、予定した使用可能期間で償却が済む状態になり、償却しきれない部分はなくなるということになります。
そこで、減価償却資産の陳腐化により耐用年数短縮の承認を受けたときは、同時に、陳腐化償却の承認があったこととみなされます。
しかし、陳腐化償却の承認を受けた場合に、耐用年数の短縮の承認を受けたとみなす規定はありません。
したがって、法定耐用年数よりも短い使用可能期間を使う陳腐化償却の承認を受けた場合であっても、法定耐用年数に基づいて償却していくことになります。
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