減価償却とはどのようなものか 「資産」関係の節税
【目次】
1.減価償却とは
会社で使っている伝票や筆記具などの消耗品や電気などの光熱費、従業員の給料、製品を運ぶための運搬費などは、当期に支払った分は当期の費用として計上できます。
ところが、会社では製品をつくるための工場を建設したり、機械設備を導入したり、製品や商品を運ぶためのトラックを購入したりします。
こうしたものは、消耗品や光熱費のように、日常の活動で使いきってしまうものではありません。 5年とか10年というように、長い期間にわたってつかうために購入する資産です。
これを「有形固定資産」といいます。
有形固定資産は、長い期間にわたってつかっていくことで価値が減少します。 100万円をかけて、商品の運搬用にトラックを購入したとします。これを1年つかったらいいと思って買う人はそうそういないはずです。100万円もするのですから、 5~6年はつかおうという心理が働くのではないでしょうか。
製造設備や事務所の机や椅子、応接セットも同じですが、できるだけ長期間つかおうとするはずです。
それほど長くつかえるものを、 1年問ですべて経費とするわけにはいきません。
そこで、ある一定の期間をかけて、毎期少しずつ資産としての評価を下げていきます。
これを減価償却といいます。
何年かけて償却するのかは、有形固定資産の種類で決められています。この期間を耐用年数といいます。
2.取得価額の態様
有形固定資産の会計上の処理は、取得価額によって3つに分けられます。
ーつは取得価額が10万円未満のもので、これは取得時に全額を費用とすることができます。
2つ目は、取得価額が10万円以上20万円未満のものです。これは、耐用年数にかかわらず、3年間で均等に全額を償却することができます。(一括償却資産と言われます。)
3つ目が、20万円以上のものです。この場合は、決められている耐用年数によって減価償却をします。ただ、耐用年数が過ぎたからといって、有形固定資産はつかえなくなるわけがないので、耐用年数を経たときの資産の価値をあらかじめ見積もっておきます。
これを「残存価額」といい、たいていは取得価額の10%です。
3.少額資産の取り扱い
固定資産は減価償却の対象となりますが、
1.取得価額が10万円未満のもの、
2.使用できる期間が1年に満たないもの、
については取得した年度で一括して償却できます。
こうした資産を「少額減価償却資産」といいます。
なお、中小企業の場合、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を取得して事業の用に供すると、全額を損金とすることができます。損金算入できる金額
には限度があり、1事業年度で合計300万円までです。
適用を受けようとするときは、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告します。
ただし、法人税の申告で少額減価償却資産として全額損金算入したとしても、償却資産税の申告上は償却資産として申告しなければいけませんので、注意が必要です。
【少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書】
4.減価償却資産と固定資産税の関係
固定資産税は、土地や建物、償却資産に対して、市町村が課税する税金です。
課税の対象となる償却資産は、自動車やバイク、耐用年数1年未満または取得価額が10万円未満の少額資産、特許権などの無形減価償却資産などを除いた資産で、市区町村役場に備えられている償却資産課税台帳に登録されているものとなっています。
ただし、課税標準が次に述べる金額を下回る場合には、固定資産税は課税されません。これを免税点といいます。
具体的には、
●土地……30万円
●家屋……20万円
●その他償却資産……150万円
となっています。
5.中古資産を取得した場合の耐用年数
会社が建物や自動車などの中古資産を取得した場合、耐用年数はその資産を取得した以降の耐用年数を見積もり、その期間で減価償却していくことになります。
なお、残存耐用年数の見積もりがむずかしいという場合には、下に挙げる簡便法によることも認められています。
●法定耐用年数を経過したもの
残存耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
●法定耐用年数を一部経過したもの
残存耐用年数 = (法定耐用年数 - 経過年数) + (経過年数 × 20%)
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