欠損金の繰越控除をフルに使う決算と申告時における節税
【目次】
1.青色欠損金の繰越控除の適用が受けられる要件
青色申告を選択している会社の最大のメリットともいえるのが欠損金の繰越控除です。翌年度以降9年間にわたって、利益と相殺することができます。
不幸にして会社に欠損金が出た場合、課税される所得がないわけですから、当然会社は法人税や事業税、住民税の法人税割部分は課税されることがありません。
住民税の均等割部分のみですみます。
もしも欠損金がずっと続くのであれば、会社は何も節税策に頭を悩ます必要はないわけですが、それでは会社の存続自体が危うくなってしまいます。
欠損が出てしまった年度はやむなしとして、翌年度以降に奮起、起死回生を図らなければなりません。
税法では、そのときに生じた欠損金は翌年度以降9年間にわたり、利益から相殺できるとしています。
これを欠損金の繰越控除と呼びますが、この制度が使えるのは、
①青色申告法人であること
②欠損金が生じた年に青色申告書を提出していること
③その後連続して確定申告書を提出していること(この場合の確定申告書は青色申告でなくてもよいです)
といった要件があります。
ちなみに白色申告であっても、災害による欠損金であれば、繰越控除が認められています。
2.赤字の活かし方
繰越欠損金の9年間の控除は、会社にとって大きな意味を持っています。
つまり欠損金という赤字と、9年という限られた期間を生かすも殺すも、経営者の腕次第ということです。
言い換えれば、この制度をうまく活用できるかどうかで、経営の巧拙が分かれるといっても過言ではありません。
基本的には、
- 過去の欠損金は使い切ること
- 9年間をフルに使うこと
の2つです。
具体的には、
①欠損金を出した年度以降も、しばらく赤字が続くと思われるときや、思うように業績が伸びないとき…欠損金が発生するのを将来に延ばせないか?
②以前に生じた償却費などの損金が消滅しそうなとき……利益を捻出して、何とか欠損金と相殺できないか?
の2通りが考えられます。
たとえば、近い将来売却しようとしている資産があり、欠損金と相殺できる期間もギリギリになっているとします。
このようなとき、繰越欠損金が生きている間に売却すれば、その売却益に対しては過去の赤字も生きますし、9年という期間もフルに使えたことになります。
その他考えられるものとしては、
- 無理な償却はしない…固定資産の減価償却をやめる
- 資産を売却して赤字になるのであれば、売却そのものを延期することができないか
- 資産を売却して利益が出るのであれば、欠損金があるうちに売却できないか
- 未払金などの計上をやめるなど会計処理の方法を変更する
- 貸倒引当金の計上をやめる
- 繰延資産の償却をやめる
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