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会社を作ると、決算・申告書作成が面倒


法人成りをすると決算のスケジュールがタイトになり、また、地方自治体への申告が増えるなど、手続きが面倒になってしまいます。

目次

1.会社を作ると、決算・申告書作成が面倒

決算は毎年やってきますが、法人成りすると決算作業が大変になります。

個人事業主は廃業でもしないかぎり、12月31日が決算日となります。

一方、法人成りすると、設立時にいつを決算日とするかを定款に記載することで、決算日を自由に決めることができます。

個人事業主の場合、12月31日に帳簿を締め、所得税は翌年の3月15日までに申告をします。消費税は、3月31日までです。

しかし、法人の場合、法人税も消費税も原則として、決算日から2カ月以内に申告を終えなければいけないことになっています。

加えて、個人事業主の場合は、口座引落としを希望することにより、税金の納付期限が申告期限の約1カ月後となるため、いくらかの余裕があります。

しかし、会社の場合は、原則として申告期限が納付期限となっています。そのため、事務手続きも納税資金の確保も同時に進行させなければなりません。


2.会社の場合、税務署以外にも申告書を提出する

個人事業主が所得税の確定申告を行うには、まず所得を種類ごとに計算した金額を申告書で合算する必要があります。

個人事業では、所得の種類がいくつあっても最終的に申告書は1枚しか作成しません。不動産を売却して、総合課税と分離課税の収入が両方ある場合でも、1枚の申告書上でそれぞれ税金を別個に計算して、最後に納付すべき税金の額を計算することになります。

個人の確定申告書は複写式になっていて、すべてを税務署に提出すると、複写された2枚目が納税地である市区町村に自動的に提出されます。

所得税の申告書は大変複雑な感じがしますが、実際に慣れてみると、さほど難しいものではありません。

譲渡などのように、専門家に頼まないと複雑で素人の手に負えないものもありますが、一般的な確定申告書は、特別な税の専門知識がなくても作成可能です。

これは、所得税の決算書が申告書を作成するための明細書として機能していて、決算書、特に損益計算書の集計ができれば、あとは単純にそれぞれの所得の金額を足したり、引いたりするだけでよいしくみだからです。

会社になると残念ながら、所轄の税務署、都道府県の出張機関である都道府県税事務所、市区町村にそれぞれ申告書類を別々に作成して届け出なければなりません(東京都の特別区など例外あり)。

これに加え、たとえば医療法人の場合、決算後に毎年登記しなければなりません。都道府県にも事業報告書を毎年提出することが必要になります。

このように業種によってはさまざまな届け出が必要となりますから、会社を作ると、その事務作業量は膨大になります。


3.会社の場合、必ずしも申告書と決算書が一致しない

法人税の申告書が法人税法という法律に基づいて作成されるのに対し、会社の決算書は、会社法という法律に基づいて作成するものですから、必ずしも、申告書と決算書が一致しないという問題が起きてきます。

そこで、法人税の申告書を作成する場合には、両者の調整をする必要が出てくるのです。法人税の申告書には、たくさんの種類がありますが、主なものに「別表l」「別表4」「別表5の1」があり、これらの調整は「別表4」と「別表5の1」で行います。

■「別表4」と「別表5の1」の関係

「別表4」は損益計算書、「別表5の1」は貸借対照表に該当します。これらをもとに「別表1」で法人税の金額を計算するしくみになっています。また、複式簿記で仕訳を行う場合に、貸借が一致しなければならないのと同様に、法人税の「別表4」と「別表5の1」の関係も、貸借が一致するように作成しなければなりません。この作業は、税務の素人には大変難しく、結局は税理士に依頼して行うようになりますから、個人事業に比べてコストのアップは避けられません。


4.会社の場合、貸借対照表も作成する

個人事業主の確定申告のときは、収入や支出を把握するような決算書(損益計算書)の作成だけでも問題ありませんでした。

しかし、法人の場合は、それだけでは足りません。法人の場合は、「貸借対照表」という決算書も作らなければなりません。

会社は「複式簿記」を使って記録します。この記録の仕方は、取引の「原因」と「結果」の両方を記録するモノでした。

会社の確定申告には、この貸借対照表の提出も求められます。

つまり、損益計算書と貸借対照表の2つの決算書が、確定申告時に必要となるわけです。法人成りすると、このような貸借対照表を作る手間が、余計にかかるのです。

ただし、個人事業主時代に65万円控除を得られる青色申告をしているのでしたら、すでに複式簿記で記録しているはずですし、貸借対照表も作っているはずです。

もともと手間をかけて複式簿記での記帳、貸借対照表の作成をしているわけですから、法人成りしてもこの部分の手間はほとんど変わりません。

このように手間のかかる決算ですが、悪いことばかりではありません。それは、経営のヒントとして使えることです。損益計算書と貸借対照表の2つをあわせれば、自分の事業の強みと弱みが見えてきます。

それを経営に活かしていくことができるわけです。最初は決算書を経営に活かすことは難しいです。

数字の意味を知り、活用できるようにならなければ、大きく成長することはできません。

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