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前期損益修正益(損)(ぜんきそんえきしゅうせいえき(そん))


前期以前に計上された収益や費用を修正することによって発生する収益の額や損失の額を処理する勘定科目です。

【目次】

1.科目の内容

「前期損益修正益(損)」とは、過年度の損益にすべきであった事項がある場合、前期の決算書は既に確定しているので、当期の決算害を修正するための勘定科目です。

「前期損益修正益(損)」は、特別損益の区分に計上されます。

なぜなら、前期までの経常損益に計上するべき損益を、当期の経常損益に含めてしまうと、当期の経常損益が適正に表示できなくなるからです。

なお、特別損益に属する項目でも、金額が僅少なものや毎期経常的に発生するものは、経常損益の区分に含めることもできます。

前期損益修正の項目としては、企業会計原則注解に次のようなものが例示されています。

  1. 過年度における引当金の過不足の修正額
  2. 過年度における減価償却の過不足の修正額
  3. 過年度におけるたな卸資産評価の訂正額
  4. 過年度における償却済債権の取立額

その他、実務上では、会計方針の変更、会計上の見積りの変更などがあった場合の前期の損益や、過年度の誤った処理の訂正で生じる損益などがあります。

2.仕訳例

前期の損益を修正して損失が生じる場合は、「前期損益修正損」を借方に記入します。前期の損益を修正して利益が生じる場合は、「前期損益修正益」を貸方に記入します。

過去の売上計上漏れが発覚した。
(借方)売掛金  500,000円/(貸方)前期損益修正益  500,000円


3.貸倒引当金戻入益と償却債権取立益

前期損益の修正として、「前期損益修正益(損)」の勘定科目を用いず、発生原因などの名称を次のような勘定科目に付して処理することがあります。

  • 「貸倒引当金戻入益(かしだおれひきあてきんもどりいれえき)」

「貸倒引当金」の前期繰越高の全額を収益に戻り入れる(洗替処理)ため、また、「貸倒引当金」の前期繰越高が、当期の引当額を超えていた場合にその差額を戻り入れ(差額処理)ための勘定科目です。

「貸倒引当金」に期末残高がある場合は、前期の「貸倒引当金繰入額」が過大であったと考えられます。よって、「貸倒引当金戻入益」は前期の損益の修正として、「前期損益修正益」の性格があります。

  • 「償却債権取立益(しょうきやくさいけんとりたてえき)」
    過年度に「貸倒損失」として処理されていた債権が、当期になって回収された場合、その回収金額を処理する勘定科目です。

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Tag: 特別利益・特別損失

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