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繰延資産(くりのべしさん)


【目次】

支出の効果が将来にわたって及ぶことが見込まれるものでその支出を将来の期間に配分して処理するため、経過的に繰延べられたものです。

科目の内容

「繰延資産」とは、すでに対価の支払いが完了または支払い義務が確定し、この支払いに対する役務の提供を受けたにもかかわらず、その支出の効果が将来にわたって及ぶことが見込まれるものを表す勘定科目です。

「繰延資産」は将来の期間に影響する特定の費用であり、次期以降の期間に配分して処理するために、経過的に貸借対照表の資産の部に記載されます。例えば、60か月にわたり効果が及ぶ費用の支払いをしたとして、その60か月分を当期に全額費用計上してしまうと、費用の過大計上となってしまうため、翌期以降に効果が及ぶ分を資産に計上し、償却していくわけです。

すでに対価の支払いが完了または支払い義務が確定していて、これに対する役務の提供を受けたのであれば、その支出はその期の費用として損益計算書に計上されます。

しかし、その効果が将来にわたって及ぶと見込まれることから、費用を将来の収益と対応させるために、「繰延資産」として資産計上されます。

よって、必ずしも繰延資産は財産的な価値を有しているわけではありません。

そこで、会計上は

  1. 「創立費」
  2. 「開業費」
  3. 「株式交付費」
  4. 「社債発行費」
  5. 「開発費」の5項目が限定列挙されています。

仕訳例

繰延資産に該当する支出をした場合は、その支出に対応する「繰延資産」の勘定科目を借方に記入します。

計上した繰延資産を償却した場合は、「繰延資産」の勘定科目を貸方に記入します。

会社設立にあたり、設立費用を現金で支払った。
(借方)創立費  500,000円/(貸方)現金  500,000円

会計と税務の繰延資産の違い

会計と税法の繰延資産の範囲は異なっています。会計上は、下記の5つの限定列挙ですが、税法上は、それよりも繰延資産の範囲を広く解釈しています(参照「長期前払費用のページをご参照ください」)。

「創立費」とは、会社の設立までに支出した費用のことをいいます。

具体的には、

  1. 発起人が受ける報酬
  2. 会社が負担すべき設立費用
  3. 設立登記のために支出した登録免許税額
    のことです。

このうち、1. 発起人が受ける報酬と2.会社が負担すべき設立費用(定款認証手数料と金融機関の取扱手数料を除く)は定款に記載された額に限られます。

「開業費」とは、会社設立後、営業を開始するまでに、開業準備のために支出した費用を表す勘定科目です。

具体的には、営業開始のための建物の賃借料、広告宣伝費、通信交通費、水道光熱費、従業員の給料手当などのことです。

「新株交付費」とは、既存会社が新株発行のために直接支出した費用を表す勘定科目です。

具体的には、株式募集のための広告費、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料、目論見や株券等の印刷費、変更登記の登録免許税などのことです。

「社債発行費」とは、社債発行のために直接支出した費用を表す勘定科目です。

具体的には、社債募集のための広告費、金融機関の取扱手数料、証券会社の取扱手数料、目論見や社債券等の印刷費、社債登記の登録免許税などのことです。

「開発費」とは、新技術の採用、新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓等のために支出した費用を表す勘定科目です。

また、生産能率の向上や生産計画の変更などによる設備の大規模な配置替えの費用も、これに含まれます。ただし、いずれも経常的なものは除かれます。

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