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借地権 (しゃくちけん)


【目次】

借りている土地の上に、自ら建物を建てた場合の土地の権利のことです。

科目の内容

「借地権」とは、広く他人の所有している土地を経営目的のために利用する権利を表す勘定科目です。

会計上の「借地権」と借地法上の借地権では、権利の範囲が異なり、借地借家法上の借地権には主に5種類あります。

  1. 普通借地権
  2. 定期借地権
  3. 事業用定期借地権
  4. 建物譲渡特約付借地権
  5. 一時使用目的の借地権

借地法上の借地権は、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権のことを言います。

地上権とは、民法上で認められている権利で、工作物などを所有するために他人の土地を使用する権利です。地上権は、他人に自由に譲渡することができます。

賃借権とは、賃貸借契約により地主に地代を払って土地を借りる権利です。賃借権は、他人に自由に譲渡はできません。しかし、会計上は、借地法上の借地権よりも広く解釈し、建物の所有に限らず、借地の対価であれば全てを「借地権」として処理することになります。

「借地権」は、長期にわたって土地を使用する権利であり、土地に準じるものとして減価償却することは一般的にはありません。ただし、私が関与した上場会社では、事業用借地権の年数により償却し、税務上否認しているというケースがありました。いずれにしても、税務上は減価償却が認められていません。また税務上、「借地権」の取得原価が10万円以下であっても、資産に計上しなければいけません。

仕訳例

土地を借りるために権利金などを支払った場合は「借地権」を借方に記入します。

売却した場合は「借地権」を貸方に記入します。

地主との間で土地を賃借する契約を結び、権利金を普通預金で支払った。
(借方)借地権  50,000,000円/(貸方)普通預金  50,000,000円

借地権の取得価額はいくらとすべきか

「借地権」の取得価額は、借地権の対価として土地の所有者に支払った権利金などの額となります。

また、「借地権」の取得原価には、借地権の対価として支払った権利金の他、以下のものが含まれます。

  1. 土地の上にある建物などを取得した場合、その購入対価のうち借地権の対価と認められる部分(建物などの購入対価のおおむね10%以下の金額である場合)
  2. 賃借した土地の改良のための整地費用(地盛り、地ならし、埋め立てなどの費用)
  3. 借地契約にあたり支出した費用(仲介手数料、立退き料など)
  4. 建物などの増改築にあたり、地主に支払った費用(承諾料など)
  5. 契約の更新や更改があった場合の更新料も、「借地権」の取得価額に含まれます。

税務上の留意点

「借地権」の設定にあたり、権利金の授受の慣行があるにもかかわらず、その支払いがない場合や金額が少ない場合には、権利金の贈与があったとみなされ課税されることがありますので、権利金の支払いをすべきかどうか、地代の額をいくらに設定すべきか慎重に検討する必要があります。

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