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減価償却累計額 (げんかしょうきゃくるいけいがく)


【目次】

固定資産を減価償却した場合の、減価償却費の累積額です。
固定資産の簿価は、取得価額から減価償却累計額を引いた額です。

科目の内容

「減価償却累計額」とは、固定資産の減価償却(間接法)を行う場合に、減価償却の対象となる固定資産の控除項目として、これまでの減価償却費を累積した額を表す勘定科目です。直接法と呼ばれる固定資産を直接減額する方法だと、減価償却累計額は使いません。貸借対照表価額が簿価を表すからです。

減価償却とは、固定資産の取得原価を使用する期間に配分することで、収益に対応する費用として計上する会計処理です。減価償却では、合理的に決定された一定の方法に従って、毎期、規則的に固定資産の適正な原価を配分します。

減価償却による取得原価を期間配分する会計処理には、次の方法があります。

  1. 定額法 毎期均等額の減価償却費を計上する方法
  2. 定率法 毎期期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法
  3. 級数法 毎期一定額を算術級数的に逓減した減価償却費を計上する方法
  4. 生産高比例法 毎期生産高の度合いに比例した減価償却費を計上する方法

仕訳例

減価償却の対象となる資産を売却又は除却した場合、「減価償却累計額」を借方に記入します。

決算時に減価償却(間接法)を行った場合、「減価償却累計額」を貸方に記入します。

建物の減価償却をした。
(借方)減価償却費  300,000円/(貸方)減価償却累計額  300,000円

直接法と間接法の違い

減価償却を勘定処理する方法には、直接法と間接法の2つがあります。

直接法は、減価償却による減価償却額を、対象となる固定資産の取得原価から直接減額する方法です。直接法では、固定資産の勘定残高が帳簿価額を表します。

間接法は、減価償却額を直接減額しないで、対象となる固定資産ごとに設けた「減価償却累計額」に集計していく方法です。間接法では、固定資産の勘定残高は取得価額のままであるため、帳簿価額は取得価額から「減価償却累計額」を減額して算出します。

減価償却の勘定処理としては、直接法と間接法の両方の方法が認められていますが、実務上は、間接法を使用している会社が多いのではないでしょうか。なぜなら、間接法により減価償却を行うと、取得価額、減価償却の累計額、帳簿価額の3つの数値が把握しやすくなるからです。

貸借対照表をスッキリと、シンプルに見せたいという場合には、直接法の方が見やすいです。減価償却累計額という科目が出てこないからです。減価償却累計額はどこに表示されるのかというと、注記というところに記載されます。各資産ごとの取得価額、耐用年数、簿価を調べようと思うと固定資産台帳を見ないとわかりませんので、直接法により減価償却を行っても全く問題はありません。

税務上の留意点

「減価償却累計額」の貸借対照表上の表示方法には、次の3つの方法があります。

  1. 各固定資産の科目別に減価償却累計額を控除する方法
  2. 複数の固定資産の科目について、減価償却累計額を一括して控除する方法
  3. 減価償却累計額控除後の残額(溥価)を貸借対照表上に表示し、減価償却累計額を注記する方法

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