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贈与の非課税枠110万円を活用する


贈与税は、個人から贈与により財産を取得した人にかかる税金です。相続や遺贈により財産を取得した場合には、その財産について相続税が課税されます。

しかし、被相続人が生前に、配偶者や子などに贈与によって財産の移転をする、相続税がかからなくなったり又はかかっても僅かな相続税負担で済むといった場合もでてきます。

そうなると、生前に贈与した人と、贈与しなかった人との問に税負担の著しい不公平が生じます。

贈与税額の計算式は下記のとおりです。

《贈与税額の計算式》:

贈与財産の価額 一 基礎控除額 = 課税価格

課税価格 × 税率 一 速算表の控除額 = 贈与税額

暦年贈与に係る贈与税の概要

贈与財産の価額は、原則として時価によります。ただし、実務上は、不動産等については財産評価基本通達に定める価格(路線価や固定資産税評価額を基礎にして求めます。)によることがほとんどです。

生前贈与対策が相続税対策よりも優れている点は税制改正等のリスクを回避できることです。

税法は毎年改正され、現在有効な相続税対策も将来税制改正や通達改正に伴いその効果が大きく減殺されることも予想されます。

対策と効果

相続対策にかけることができる時間長ければ長いほど、贈与による相続対策の効果が大きくなります。

例えば、法定相続人が子2人でその子の家族構成がそれぞれ4人と仮定すると、子等に均等に贈与すれぱ受贈者の数は合計で8名となります。一人当たり310万円贈与し 10年問継続して贈与すれば2億4,800万円生前贈与することができます。

《計算式》:

310万円×8名×10年間=2億4,800万円

いくら贈与するか

110万円以下の贈与

暦年贈与であれば、贈与税の負担なく贈与することができます。この場合、贈与の事実を明確にして贈与することがポイントで、現金の手渡しによる直接の贈与は避けて、贈与する人の預金からもらう人の預金へ振込みなどの方法により贈与の日と金額を明らかにしておくことが大切です。

贈与税の申告義務はありませんが、贈与の事実を証明するために贈与税の申告(納税額は0円)をしておくことも有効です。

また、贈与契約書を作成して贈与の意思確認が行われていることを書面で明らかにしておくことも非常に重要です。親族同士だからといっても、抜かりなく準備・対策をすることをおすすめいたします。

310万円の贈与

310万円贈与する場合、贈与税の基礎控除額を控除した後の課税価格200万円に対する贈与税の税率は10%とされていますので、20万円の贈与税が課税されます。

相続税の最低税率が10%ですので、贈与税もその税率の範囲で贈与すれば最も低い税率の範囲の贈与といえます。

《贈与税額の計算式》:
贈与財産の価額310万円 一 基礎控除額110万円 = 課税価格200万円

課税価格200万円 × 税率10% = 贈与税額20万円

470万円の贈与

470万円の贈与に対する贈与税は47万円となります。

贈与した金額に対して10%の税負担率となります。

この金額以上の贈与を繰り返せば相当額の資産の贈与が可能となります。

《贈与税額の計算式》:
贈与財産の価額470万円 一 基礎控除額110万円 = 課税価格360万円

課税価格360万円 × 税率20% ー 速算表の控除額25万円 = 贈与税額47万円

何を贈与するか

不動産の場合

不動産の移転の場合には、持分で贈与することができますので、土地等を分筆したりする必要はありませんが、移転コストが高くなることがデメリットです。

不動産の贈与では、登録免許税及び不動産取得税(合計で固定資産税評価額の5%)が課税されます。その他、登記実務を行う司法書士の費用も必要です。

そのため、贈与税の基礎控除額以下の贈与であっても、移転コストを考慮するとメリットは小さいと思われます。

現預金の場合

現預金の贈与では移転コストはかかりませんが、受贈者の金銭感覚が狂うことがないか心配です。

そのため、贈与の受け皿として受贈者名義の専用通帳を作り、その通帳へ贈与資金を移転し、通帳も印鑑も贈与者が管理している事例もありますが、この場合には、贈与が行われていないと考えられ、贈与者の相続財産(名義預金)として税金がかかることがあります。

また、現預金の贈与は、時価と相続税評価額がイコールであるため、効率的な贈与とはいえません。

自社株の場合

取引相場のない株式等(以下、「自社株」という。)を贈与する場合には、その自社株の相続税評価額の算定が難しいことが難点です。

一方、自社株は換金性に乏しいので現預金と異なり、もらった人が無駄使いする心配がなく、また、自社株の相続税評価額を引き下げてから移転を図れば最も贈与財産の選択としてはふさわしいと考えます。

そのために、まずは自社株の算定、株価の引き下げ、それから贈与という流れとなりあます。

その他

上場株式の贈与

国内の証券取引所に上場されている株式を贈与するときの評価額は、次の(1)から(4)のうち最も低い金額によります。

(1)贈与日の終値
(2)贈与日の属する月の毎日の終値の月中平均
(3)贈与日の属する月の前月の毎日の終値の月中平均
(4)贈与日の属する月の前々月の毎日の終値の月中平均

以上のことから、贈与・直前に急騰した株式を贈与すれば急騰以前の価額で贈与することができます。

贈与により株式の名義を移管する場合には、各証券会社にご確認をお願いいたします。

ゴルフ会員権の贈与

ゴルフ会員権を贈与する場合には、通常取引価格の70%に相当する金額で贈与金額を評価します。なお、名義書換手数料がかかりますので、事前に対象のゴルフ会員権の名義書換手数料をご確認ください。

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