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経費関係の税務上の留意点


経費関係の留意点について解説いたします。

①役員給与に変更はないか、議事録は作成されているか

<解説のポイント>
役員給与の改定は、原則として会計期間開始の日から3月以内に行われる通
常改定、臨時改定事由がある場合、業績悪化事由がある場合に限定され、その
変更に制限が加えられている。よって、次のような事由により改定が行われて
いないかなどの確認を行うようにする必要がある。

イ)事業年度途中から増額したものの処理確認[定期同額給与]
役員に対する給与の額の改定が、その事業年度開始の日の属する会計期間開
始の日から3月を経過する日より後に行われている場合には、上記の事由に該
当しない場合には、定期同額給与に該当しない。

ロ)事前に届出書を提出したものに係る支払確認[事前確定届出給与]
役員に対して支払われる賞与や臨時の手当などは、あらかじめ税務署長に定
められた期限までに届出を行い、その届出た額の支給が行われなければ、その
全額が否認されてしまう。そのため、まずは期限までにその届出のし忘れがな
いよう指導等を行うとともに、クライアント先で支給額の変更を望んでいると
きは、正当な理由がある場合にのみ認められること、再度届出を行う必要があ
ることなどを指導する必要がある。

②短期前払費用として処理したものは、適用要件を満たしているか

<解説のポイント>
前払費用は、期間損益計算の立場からすれば、本来は、支払った時点におい
ては資産計上し、その後、役務の提供を受けるにしたがって費用化されるべき
ものであるが、法人税の計算上も、前払費用として支払った金額のうち、1 年
以内にサービスの提供を受けるもの(短期前払費用)については、次の要件を
満たしていれば、支払った期に損金算入(費用計上)することができる。

〔短期前払費用の特例の要件〕
イ)前払費用としての要件を満たしていること
●一定の契約に従って継続的にサービスの提供を受けるものであること
●役務(サービス)の提供の対価であること
●翌期以降において、時の経過に応じて費用化されるものであること
●当期中に支払いが済んでいること
ロ)毎期継続して同様の経理処理を行うこと
ハ)収益と直接対応させる必要のある費用や重要性の原則を逸脱するような費
用でないこと

③特別償却、特別控除は適用要件を満たしているか
(器具備品を機械装置にしていないか)

④経費のうち貯蔵品とすべきものはないか

⑤車両関係費は保有する車両の台数と整合性があるか
(ガソリン代、車検代、自動車税など)

<解説のポイント>
③について、備品扱いになるのか機械装置扱いになるかで例えば医療機器についての適用の可否が異なるケースもある。よって、いずれの資産に該当する
かを正確に判断できる必要がある。

④について、特に期末対応発注のパンフレットなどは、調査のことを考えても、棚卸をする必要があるので、棚卸処理のしわすれに注意をすること。
⑥交際費は相手先、内容を細かく聞き取っているか

<解説のポイント>
税法上の交際費等の範囲は社会通念上の交際費の概念より幅広く定められて
いるため、まずは交際費に該当する範囲を明確にしておくこと。

⑦保険料の経理処理は適正か、資産計上すべき金額は合っているか
(満期、返戻金ピーク時期は、保険ごとに把握できているかなど)

<解説のポイント>
保険料の処理や資産計上すべき金額等の税務上の取り扱いについては、その
受取人の相違により、支払保険料を損金算入するべきか資産計上するべきかと
いった経理処理上の違いがあるので、まずはその把握を行うこと。

⑧利子源泉税、配当源泉税は適正に計上されているか

⑨貸倒損失、貸倒引当金は要件を満たしているか

<解説のポイント>
〔貸倒損失の計上要件〕
〔貸倒引当金(個別評価)の計上要件〕
代表的な個別評価による繰入限度額には、次の3つの種類がある。

イ)弁済の猶予等があった場合の繰入限度額

〔設定事由〕
次に挙げる事由に基づいて、弁済猶予又は賦払弁済される場合において設定
することができる。

●会社更生法等による更生計画認可の決定
●民事再生法の規定による再生計画認可又は破産法の規定による強制和議の
認可の決定
●会社法の規定による特別清算に係る協定の認可

ロ)取立て等の見込みがない場合の繰入限度額

〔設定事由〕
次の事由に基づき、金銭債権(上記(3)の規定の適用があるものを除く。)の
一部につき取立て等の見込みがないと認められる場合において設定できる。

●債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続しその営む事業に好転の見
通しがない場合
●災害等により多大な損害が生じた場合
●その他一定の事由(全額回収不能、かつ、担保処分に日時を要する場合)

ハ)50%基準による繰入限度額

金銭債権(上記①・②の適用があるものを除く)に係る債務者につき、次の
事由が生じている場合において設定できる。
●会社更生法等の規定による更正手続開始の申立て
●民事再生法の規定による再生手続開始の申立て
●破産法の規定による破産の申立て
●会社法の規定による特別清算開始の申立て
●上記に準ずる事由(法規25 の3、法基通11-2-11)
イ 手形交換所の取引停止処分
ロ 当期末までに手形が不渡りとなり、申告期限までに取引停止処分が生
じた場合

⑩債権のうち当期に貸倒れとするものはないか

<解説のポイント>
〔貸倒損失の判定について〕
イ)顧客の支払能力から見て全額の回収不能が明らかになった場合、その時点
で貸倒れ損失となる。

ロ)相当期間、継続的に債務超過の状態にあり返済不能と認められる場合で、
書面による債務免除を通知した場合は、その通知をした時点でその金額が
貸倒損失となる。

誤ったタイミングで、貸倒損失に計上しても損金に認められない場合もある
ので、正確に判断できるようにすること。

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Tag: 法人税の確認ポイント

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