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自社株の株価がなぜ高いのか~純資産価額方式
1.純資産価額方式の原因
1-1.資産に含み益がある場合
純資産価額方式による純資産価額は、貸借対照表の「資産」は相続税評価額に換算し直された「総資産価額」から、同じく相続税評価額に換算し直された「負債価額」を差し引いた価額を基礎として計算されます。
資産50億円が相続税評価額で60億円だとすると、差額10億円に対して60%(評価差額に対する法人税等の40%控除後)の6億円が資産の額に加算されることになります。
したがって、かなり前に取得した土地、借地権等や有価証券がある場合は、現在値での相続税評価額になりますから、純資産価額が多額になり、株価が高くなってしまいます。
また、圧縮記帳により簿価を圧縮している資産等についても簿価が小さくなっていますので、相続税評価額との差額が大きくなります。
1-2.簿価純資産価額が高い場合
会社の過去の業績がよかったときは、法人税等を支払った後の利益積立金が累積された状態になり、非常に株価が高くなっていることがあります。
中小会社は、担保力などにもより、大企業に比べて信用力が弱いため、外部からの資金調達に限界があるのが通常です。
そこで、中小会社では資金の社外流出をできるだけ少なくして内部留保に努めることがあります。
役員報酬や交際費などををできるだけ低く抑えて利益をより多く計上するように努力し、利益より支払われる株主への配当金や役員賞与も少額にして内部での資金調達を容易にしなければならないからです。
その結果、長年の蓄積によって内部留保額が多額となり優良な会社となって、株価が高くなっているのです。
2.純資産価額の要因による株価の比較
2-1.資産に含み益がある場合
資産に含み益があるような場合には、当然純資産価額は上昇します。
対策としては、含み損失を発生させるようなことはなかなか難しいでしょうから、含み益のある資産を分離して、含み益を少なくする方法を考えることになります。
2-2.剰余金等が多額の場合
非上場会社の中堅・中小会社では、外部負債(借入金等)をできる限り少なくして、内部留保金を厚くして、安定的な会社経営を営むことを要求されますが、その結果としてオーナーの相続財産が必然的に増加してしまいます。対策の考え方としては、次の方法が考えられます。
(1)借入金(負債)を増加させると同時に、増加した資産を相続税評価額に換価した場合に、借入金との乖離が発生させることを考えます。
(2)増資によって、発行済株式数を増加させて、1株当たりの株価を引き下げるとともに、増加した株式をオーナーが所有せず、後継者・社員持株会などが保有することを考えます。
全社の評価額÷ 発行済株式数= 1株当たりの株価
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