債務の検討 相続税税務調査
【目次】
1.債務控除
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下
この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
1 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
2 被相続人に係る葬式費用
2.控除すべき債務
前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
2-1.債務の種類
①相続税の課税価格は、財産の価額から債務を控除した金額によります。相続税法上の債務とは次のように法律上の債務であり、確実なものであることが必要です。
イ 相続開始の際現に存するものであること。
ロ 確実と認められるものであること。
②確実な債務
確実な債務であるかどうかについては、必ずしも書面の証拠を必要としません。
また、債務の金額が確定していなくても、債務の存在が確実であるものについては、相続開始日現在の現況によって確実と認められる金額を控除することができます。(相基通14-1)。
③保証債務
保証債務は控除できません。主たる債務者に対する催告の抗弁権があります。ただし、主たる債務者が弁済不能にある場合でその債務の履行を行わなければならず主たる債務者に対して求償権を行使できない場合は控除することができます(相基通14-3)。
④連帯債務
連帯債務のうち負担すべき部分が明らかなものについては控除できます。
また、他の連帯債務者の負担すべき部分でもその連帯債務者が弁済不能等の場合は控除できます(相基通14-3)。
2-2.債務の具体的検討
● 未払金・未払各種公共料金等について請求書・領収書のチェックを確実に行ないます。特に預貯金から自動引落しされるものに注意してください。
● 未払医療費は失念することが多い費用です。
● 借入事実を証する書類、相続開始日現在の借入残高の確認をします。
【金銭消費貸借契約書等】
● 金融機関等からの借入金
残高証明書を取りよせる。【借入金残高証明書】
● 高額な借入金については、その使途についても検討します。
● 貸付住宅等がある場合、預り保証金・敷金があります。償却する部分を除きます。
《質疑応答:被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合の債務控除》
【照会要旨】
個人事業者が店舗焼失と同時に焼死しました。
相続人は、事業基盤がなくなったことから、その事業を承継せず、被相続人
が雇用していた従業員を解雇し、退職金を支払いました。
この場合の退職金は、相続税の課税価格の計算上債務として控除できます
か。
【回答要旨】
被相続人の死亡によって事業を廃止して被相続人が雇用していた従業員を解雇する場合において、その者に退職金を支払っているときは、その支給された退職金は、被相続人の生前事業を営む期間中の労務の対価であり、被相続人の債務として確実なものであると認められますから、相続税の課税価格の計算に当っては、その金額を控除して差し支えありません。
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